「透析をはじめたら、好きなおやつや甘いお菓子は我慢しなくては」と思っている方も多いかもしれません。しかし、食べるものや食べ方次第で、透析患者さんもおやつの時間を楽しむことができます。この記事では、透析患者さんにとってのおやつ・間食の考え方、おすすめのおやつと選ぶ際のチェックポイント、食事管理の負担を軽減する方法を解説します。
この記事でわかること
- 透析導入後のおやつ選びで気をつけるべき成分
- 透析患者さんにおすすめのおやつと、控えたほうがよいおやつの特徴
- コンビニやスーパーで市販のおやつを選ぶ際の具体的なチェックポイント
- 毎日の栄養計算の負担を減らし、無理なくおやつを楽しむための工夫
目次
透析導入後におやつを楽しむための基本
透析患者さんは、ふだんの食事からエネルギー・たんぱく質はしっかり摂り、カリウム・リン・水分・塩分に配慮する必要があります。制限のある成分を気にするあまり、エネルギーやたんぱく質が不足し低栄養状態を招く恐れもあります。これを補う意味でも、間食(おやつ)と上手に付き合う方法を知っておくとよいでしょう。[1]
バランスのよい食事をベースに、おやつは補食
透析食の基本は、「バランスのよい食事」です。主食・主菜・副菜のそろった献立で、朝・昼・夕の3食をしっかり食べる習慣をつけることが大切です。しかし、忙しかったり体調がすぐれなかったりと1回に量を食べられない方、体重減少や体力の低下が気になる方、低栄養状態を指摘された方などでは、間食(おやつ)で不足を補うことが必要な場合もあります。
一方、食事をしっかり食べていても、楽しみとしておやつを食べたい、という方もいるでしょう。そんなときは食事とのバランスを見ながら、食べるものや量、頻度で調整します。おやつ単体ではなく、1日の食事全体の中で偏りをなくしていく考えです。また、おやつを食べ過ぎて食事が入らない、ということにならないよう注意が必要です。
補食または嗜好品としておやつを取り入れる際は、食事管理と同様に、エネルギー・たんぱく質・塩分・水分・カリウム・リンの6つの成分を意識して、自分に合った摂取量にコントロールできるよう目指しましょう。
エネルギー・たんぱく質
透析治療で栄養素が失われたり、治療に体力を奪われたりと、透析患者さんは低栄養に陥りやすいといわれています。体力の源であるエネルギーと、身体をつくる重要な栄養素であるたんぱく質は、不足しないようにしっかり摂取する必要があります。[1]
食事量が少なくなってしまうときは、エネルギー、たんぱく質を補うためのおやつを選びましょう。炭水化物や糖分、脂質は効率の良いエネルギー源となります。たんぱく質は肉、魚、卵、豆類、乳製品に多く含まれますが、カリウム・リンにも注意が必要です。
糖尿病の合併などエネルギー制限がある場合、保存期に続いてたんぱく質制限がある場合などは、指示されたエネルギー量・たんぱく質量を逸脱しないように気を付けましょう。
塩分・水分
塩分の摂り過ぎは喉の渇きを招き、水分の過剰摂取につながります。塩分摂取量は1日6g未満が望ましいとされているため、おせんべいやスナック菓子といった塩気の強いおやつは控えたほうが安心です。[1]
透析患者さんは排泄機能が弱まっており、水分の摂り過ぎにも注意が必要です。体重の増加量を確認しながら、飲み物・食べ物から摂取する水分量を管理しましょう。ゼリーなどの水分が多い食品は、飲み物を含めた1日の水分量の中で計算し、計画的に取り入れるとよいでしょう。
カリウム・リン
カリウムは、血液透析を受けている場合、一般的な目安として1日あたり2,000mg以下の摂取量に抑えることが推奨されています。[1]カリウムは、肉・魚などさまざまな食品に幅広く含まれ、野菜・果物・いも類には特に多く含まれています。おやつでフルーツ・さつまいもなどを食べ過ぎると、食事で摂取できるカリウムの量が減り、主菜から摂りたいたんぱく質や、野菜に含まれるビタミン・食物繊維などが不足してしまうことも考えられます。
リンは、「たんぱく質(g)×15(mg)以下」が摂取量の目安とされています。[1]肉・魚・乳製品などのたんぱく質食品に多く含まれているため、たんぱく質はしっかり摂りつつ、リンを抑える工夫が必要になります。また、食品添加物に使われる「無機リン」は、自然な食品に含まれる有機リンよりも吸収率が高いとされているため、加工食品はなるべく控えるよう意識したいところです。[4]
※必要な栄養量は個々の状況により異なります。具体的な目安量は担当の医師・管理栄養士にご相談ください。
透析患者さんが取り入れやすいおやつ・間食の例

上記の4つのポイントを踏まえ、エネルギーを補給でき、カリウム・リン・塩分の含有量が少ないものを中心に、透析患者さんが日々の生活に取り入れやすいおやつを紹介します。
おにぎり・サンドイッチ
食事量が少ない場合は、鮭やツナなどを入れたおにぎりや、ハムやたまごのサンドイッチなど、炭水化物とたんぱく質を一緒に摂れるもので補いましょう。塩分に注意しながら、小さめのものを満腹にならない程度に食べましょう。
和菓子
和菓子は、洋菓子に比べてバターや生クリームを使わないため、リンが少ない傾向にあります。寒天、くずきり、ういろう、わらび餅などは、カリウムも少なめです。水分の摂取量に配慮しつつ、甘味を楽しみましょう。[3]
いも類・豆類は、カリウムやリンが多いため、あんこ(小豆)、きなこ(大豆)、甘納豆などは食べる量に気を付けましょう。あんこなら、粒あんよりもこしあんの方が、カリウムは少なくなります。[3]
ゼリー・飴
飴(キャンディー)、グミ、ゼリーは、塩分やカリウム・リンが少なく、透析治療後に疲れを感じた際の手軽なエネルギー補給に活用できます。ただし、果汁100%のゼリーはカリウムが多くなることがあるため、注意が必要です。[3]
ミルクゼリー、プリンなどは、たんぱく質が摂れる反面、リンが多くなりがちなため、身体の状態やふだんの食事状況との兼ね合いをみながら取り入れましょう。
ビスケット・ウエハース・ボーロ
洋菓子を食べたいときは、生クリームを多く使ったケーキよりも、クリームを使用していないプレーンタイプのビスケットやウエハース、ボーロが向いています。乳製品や添加物の使用量が少ない製品を選ぶことで、リンやカリウムを抑えやすくなります。おやつを選ぶときに、原材料名も確認するくせをつけておくと良いでしょう。
おやつを楽しみながら食事全体のバランスを整えるには、毎日の食事で栄養成分を把握しておくことも大切です。メディクックの透析弁当は、管理栄養士が栄養成分を計算しているため、毎日の献立づくりや栄養計算の負担を減らせます。
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コンビニ・スーパーでおやつを選ぶ際のチェックポイント

市販のおやつを購入する際は、以下の点を確認しておくと、配慮が必要な成分の摂取量を把握するのに役立ちます。
栄養成分表示で確認したい項目
商品のパッケージにある「栄養成分表示」には、エネルギー・たんぱく質・食塩相当量(塩分)を確認できます。「1個当たり」、「100g当たり」などの表示単位に気を付け、摂取量で考えましょう。[2]
カリウム・リンは表示の義務がなく、記載されていないものもあるため、含有量が多い食品・少ない食品を知っておくと良いでしょう。[2]
また、加工食品には腸管吸収率が高い無機リンを含む添加物が使用されていることも多いため、原材料名を確認し、「リン酸塩」などの記載があるものは控えめにしておくと安心です。[4]
個包装を選ぶメリット
大袋のお菓子は、食べる手が止まらずつい食べ過ぎてしまうこともあるため、1回分が個包装になっているものを選ぶと、摂取量をコントロールしやすくなります。
透析治療中に摂り過ぎに注意したいおやつ

ここでは、透析患者さんが摂り過ぎないように気をつけたいおやつについて解説します。
スナック菓子・米菓(塩分・カリウムが多い)
ポテトチップスをはじめとするスナック菓子は、主原料であるじゃがいもにカリウムが多く含まれている上、味付けの塩分も多くなりがちです。添加物を多く使用した加工食品の場合は、無機リンが含まれることもあります。[3][4]
おせんべいなどの米菓も塩分が高いものが多いため、無塩や減塩のものを選ぶか、毎日のおやつとしては控えましょう。
チョコレート・ナッツ類(カリウム・リンが多い)
チョコレートの原料であるカカオには、カリウムとリンが豊富に含まれています。アーモンドやピーナッツ、くるみといったナッツ類もカリウムとリンが多いため、食べ過ぎないように気を付けましょう。無塩のものを少量であれば、エネルギーやミネラルの補給になります。[3]
乳製品・洋菓子(リンが多い)
ショートケーキ、チーズケーキ、シュークリーム、アイスクリームといった、牛乳・生クリーム・チーズを多く使用した洋菓子は、リンの含有量が多い食品です。日常的なおやつではなく、たまの楽しみとして取り入れましょう。[3]
おやつを楽しむために|毎日の食事づくりの負担を軽くする方法
透析患者さんの食事管理では、エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・塩分・水分の6つの栄養素に配慮し、摂取量の把握やコントロールが必要になります。
おやつを食べるときも、1日の目安量の範囲で、朝・昼・夕の3回の食事とのバランスを考えて取り入れることが大切です。
管理栄養士が栄養成分を計算したメディクック宅配弁当は、エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・塩分・水分の6つの成分に配慮して献立を設計しています。栄養成分も確認できるため、毎日の食事管理に役立てやすくなっています。
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※本商品は治療食ではありません。透析治療の内容(血液透析・腹膜透析・長時間透析など)は個々に異なり、必要な栄養量や制限も人それぞれです。ご利用にあたっては、担当の医師または管理栄養士にご相談のうえお召し上がりください。
まとめ
透析中のおやつ選びは、1日3食のバランスのよい食事を基本とし、不足を補う補食、心の栄養となる嗜好品として捉え、エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・塩分・水分に配慮して選ぶことがポイントです。市販品のおやつを選ぶ際は、栄養成分表示を確認し、個包装を活用すると食べ過ぎを防げます。
おやつを楽しむためには日々の食事管理が欠かせませんが、負担に感じるときは、栄養成分を確認できる宅配食を活用することで、毎日の食事管理の負担を減らせます。
※本記事で紹介している内容は、食事管理の目安としてご覧ください。ご自身に合った内容は、主治医や管理栄養士にご相談ください。
参考文献
- 日本透析医学会「慢性透析患者の食事療法基準」 透析会誌 47(5):287-291,2014
- 消費者庁「栄養成分表示について」
- 文部科学省「食品成分データベース」
- Biruete A, et al. “ASN Kidney Health Guidance on Potassium and Phosphorus Food Additives.” Journal of the American Society of Nephrology. 2025;36(11):2244-2258.


