コンビニで商品を選んでいる画像

透析患者さんが「食べられないもの」とは?好きなものを我慢しない透析食の考え方

透析患者さんは「食べられないもの」が多いと思われがちですが、「食べてはいけない」わけではありません。配慮が必要な成分に気をつけて食べ方を工夫することで、好きな食べ物を完全に断つことなく、食事を楽しむことができます。本記事では、透析食の考え方と注意すべき食品を知り、制限のある成分を上手にコントロールする方法について解説します。

この記事でわかること

  • 透析食の基本的な考え方と配慮が必要な栄養成分
  • 注意すべき食品と、好きな食べ物を我慢しない食べ方のコツ
  • 制限のある成分をコントロールする、調理の工夫やメニュー選びのポイント
  • 透析導入後の不安を和らげる、宅配食サービスの活用

「食べられないもの」とは?透析食の基本

透析患者さんの食事について「食べられないもの」として挙げられる食品は、完全に禁止されているわけではありません。透析治療において制限が必要な成分を多く含むことから、摂取量の調整が必要な食品です。適切な食事管理ができるようになるために、まずは透析食の基本的な考え方をおさらいしてみましょう。

透析患者さんが「食べてはいけないもの」はない

透析患者さんにとって、禁止されている食品があるわけではありません。

透析食は「バランスのよい食事」を基本とし、必要な栄養成分を過不足なく摂ることが大切です。透析治療の間や透析中の体調を保つために、体力を維持するための成分はしっかり摂り、身体に負荷となりやすい成分の摂取は制限します。この「負荷となりやすい成分」が、聞きなじみのない成分であるため、透析導入後に「何をどれくらい食べていいのかわからない」と頭を悩ませる方が多いのです。

透析食の食事制限

透析の食事療法基準では、エネルギー・たんぱく質・塩分・水分・カリウム・リンの6つの栄養素について摂取量の目安が示されています。[1]この基準をもとに、検査の数値や体格などに合わせて、かかりつけの医師・栄養士と相談しながら摂取する栄養素の量を考えます。

基本的には、エネルギー・たんぱく質はしっかり摂り、低栄養状態にならないよう注意します。また、塩分・水分・カリウム・リンは、透析治療において負荷となりやすいため、摂取量を控えるよう心がけます。

透析患者さんが注意したい食品の例

透析患者さんが食べる量や頻度に注意したい食品のイメージ

食べてはいけないわけではないけれども、食べる量や頻度、食べ方に注意してほしい食品があります。透析患者さんが摂取量を控えたい成分:カリウム・リン・塩分・水分は、意識していないとつい、摂り過ぎになりやすい成分です。これらが多く含まれている食品を知っておくと役立ちます。

生の野菜・果物、いも類

生の野菜や果物、いも類には、カリウムが多く含まれます。カリウムは、透析患者さんのように腎臓の働きが低下した方では、排出がうまくできずに体内に過剰に溜まってしまいます。過剰に貯留することで身体機能の調節に支障をきたす場合があるため、摂取量を制限して高カリウム血症にならないようコントロールします。

チーズ・ヨーグルトなどの乳製品

乳製品は良質なたんぱく質源ですが、リンを多く含んでいるため透析患者さんでは摂取量に注意が必要です。リンはカリウム同様、腎機能の低下により身体に溜まりやすい成分です。高リン血症になると、機能調節に異常をきたしたり、骨がもろくなったりします。

加工肉・練り物・加工食品

ハムやソーセージなどの加工肉、ちくわなどの練り物、カップ麺などの加工食品も、リンを多く含みます。

さらに、同じ量のリンを摂取しても、リンの種類によって体内への吸収されやすさがちがうこともあります。有機リンと呼ばれる食品に含まれるリンの吸収率は20~60%とされているのに対し、食品添加物として使われる無機リンは90%以上とされています。[2]

加工食品は食べる頻度や量を控え、加工していない肉や魚などの食材から作られた食事を基本とするのが良いでしょう。

漬物・みそ汁・味の濃い食事

漬物や汁物、味の濃い食事は塩分が多く、水分の摂取量も増えてしまいます。

透析患者さんは腎機能の低下により、体内の余分な塩分・水分の排泄ができずに溜まってしまい、高血圧の合併、重篤な場合は心不全や肺水腫などを引き起こすことがあります。

さらに、体内の水分が多く溜まっていれば、透析で取り除かなければならない水分量が多くなるため、透析の時間が長引いたり、透析中に体調を崩しやすくなったりします。

透析治療でつらい思いをしないためにも、塩分・水分の摂取量を適切にコントロールすることが大切です。

好きなものを我慢しない、食べ方のコツ

透析患者さんが好きな食べ物を楽しむ食事のイメージ

治療のためとはいえ、好きなものが食べられないことは、大きなストレスになりえます。旅行先で特産品や名物を味わいたいこともあるでしょう。ここでは、我慢しすぎることなく食べたいものを楽しむコツをご紹介します。

旬の野菜・果物

野菜や果物は、種類によっても含むカリウムの量が違います。

カリウムが少ない種類をベースに選ぶようにし、カリウムが多い食品は食べる頻度を控えるか、食べるときは少量にしておくと安心です。食品ごとのカリウム量は、文部科学省の食品成分データベースでも確認できます。[3]

<カリウムが多い野菜・果物>

  • ほうれん草、ニラ、パセリなどの野菜
  • れんこんなど根菜類
  • かぼちゃ、いも類
  • バナナ、メロン、キウイ
  • 野菜ジュース、ドライフルーツなどは、成分が濃縮されてカリウムも多くなっているため、特に注意が必要です。

<カリウムが少ない野菜・果物>

  • キャベツ、白菜、もやし、ねぎなどの野菜
  • ピーマン、ナス、キュウリなど水分量が多い野菜
  • りんご、みかん、なし、ぶどう、ブルーベリー

新鮮なお刺身

魚介類はカリウムやリンが多く含まれています。量や種類、食べ合わせで調節しましょう。

1食のお刺身の量は、3~4切れ、60g程度(カリウム量200mg前後)が目安です。

マダイ、マグロ、ブリ、サーモンなどは、カリウム・リンが多い魚種です。カレイ、アジ、イカなどは比較的少なめです。また、マグロなら赤身よりもトロなどの脂身の方が、カリウムやリンが少なくなります。食品ごとの成分量は、種類や部位によって異なります。[3]

海藻類、乳製品などのカリウム・リンが多い食品は一緒に摂らないようにし、食べ合わせや1日のバランスを意識しましょう。

醤油は、塩分・水分の摂りすぎに気を付け、直接かけるより小皿に少し入れて付けるようにします。薬味、すだちやレモンなどで物足りなさを補うのもおすすめです。

焼肉・ステーキ・肉料理

肉料理が好きな場合も、たんぱく質・カリウム・リンの量に気を付ければ食べられます。

1回に食べるお肉の量は、60g~80g程度(薄切り肉数枚)が目安です。

カルビなどの脂身がある部位は、ヒレやモモのような赤身肉に比べて、カリウム・たんぱく質が比較的少なく、エネルギーを補えます。

レバーはリンがかなり多いため、控えた方が安心です。肉類の栄養成分は、部位や種類によって異なります。[3]

また、タレやソースなどの味付けで塩分が多くなり過ぎないように注意しましょう。

ラーメン・めん類

塩分・水分の摂り過ぎになりやすいメニューです。また、トッピングのチャーシューや煮玉子、野菜にはカリウム・リンが多く含まれることもあります。

スープは飲み干さずに残しましょう。塩分・水分を抑えられます。

シンプルなメニューを選び、トッピングは控えた方が安心です。つけ麺なら少量のスープで楽しめます。

食べる頻度は月1~2回程度を目安に、たまの楽しみとして考えましょう。透析日の中日は避けて、タイミングを合わせるのも良いでしょう。

食材選びや栄養計算が負担に感じるときに

メディクック宅配弁当は、エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・塩分・水分の6つの成分に配慮して、管理栄養士が栄養設計しています。

6つの栄養成分に配慮した透析弁当を見る

安心して食べるためのポイント

透析食で食べ方や調理を工夫するイメージ

食べるものや量だけでなく、日々の食習慣でコントロールすることもできます。安心して食事を楽しむための食事管理のポイントを解説します。

前後の食事で調節する

1つの食べものだけを見て良し悪しを考えるのではなく、1日の献立や1週間の食事内容で考えることも大切です。昼にラーメンを食べる日は朝・夕をシンプルな食事にする、夜に外食の予定がある日は朝・昼は塩分を控え目にしておく、など前後の食事で調節しましょう。

調理で制限のある成分を減らす

・カリウムを抜く下処理

水さらし、茹でこぼしなどの下処理をしてから調理することで、野菜や肉などに含まれるカリウムを減らすことができます。

・減塩の工夫

甘味や酸味など塩味以外の味、風味や香りなど味覚以外の要素も取り入れ、おいしさに妥協することなく減塩するワザもあります。

外食時のポイント

・メニューの選び方

丼物やめん類のような1品料理よりも、主食・主菜・副菜がそろった定食を選ぶとバランスの良い食事になります。

・注文の仕方

漬物や汁物は無しにする、ソースやドレッシングは別添えにする、丼物にかかっているつゆは少なめにする、などの要望を注文の際に伝えてみるのも手です。

水分管理の秘訣

氷を口に含む、うがいをするなど、少ない水分でのどを潤す方法もあります。

塩分・水分は摂取量を把握することがまず大切です。

調味料は計量して使うようにし、加工食品や惣菜、外食を利用する際は食塩相当量の表示を確認しましょう。水分は飲んだ量が分かるコップやボトルを使うのもおすすめです。

不安を軽減する、メディクック宅配弁当の活用

毎日、「何をどれくらい食べればいい?」「この食品はこんなに食べても大丈夫?」と不安を感じながら食事を用意することに疲れてしまうこともあるでしょう。そんなときは、透析患者さん向けに作られたメディクック宅配弁当を利用し、負担を和らげることもできます。

管理栄養士による栄養設計

メディクック宅配弁当は、透析の食事療法基準に沿って、管理栄養士が栄養計算し、エネルギー・たんぱく質・カリウム・リン・塩分・水分の6つの成分の量を調整しています。「注意が必要」とされている食品も、基準内の栄養価になる量に設計しているので安心です。

調理不要の手軽さ

自宅に届いたら冷凍庫にストック、食べたいときにレンジで温めるだけで、主菜1品・副菜2品の1食が出来あがります。食材の種類や量、下処理、調理方法に悩むことなく、バランスのよい食事を手軽に用意できます。

初めての方は、透析弁当の定期便を
初回1食200円で始められます。

メディクックの透析弁当を詳しく見る

まとめ

透析患者さんが「食べられない」とされているものは、完全に禁止されているわけではなく、摂取量に注意が必要な成分を含む食品です。透析食の基本と配慮すべき成分について正しく理解し、食べ方を工夫しましょう。ちょっとしたポイントを抑えれば、好きなものを我慢せず、日々の食事をコントロールしながら楽しむことができます。

食べる量が分からなくなったときや、調理の負担が大きい日には、管理栄養士が栄養設計した宅配食を活用することも選択肢の一つです。

※本記事で紹介している内容は、食事管理の目安としてご覧ください。ご自身に合った内容は、主治医や管理栄養士にご相談ください。

記事作成:メディクック宅配弁当運営チーム

参照・引用元一覧

  1. 1. 日本透析医学会「慢性透析患者の食事療法基準」『日本透析医学会雑誌』47巻5号、287~291頁、2014年
  2. 2. 岩切友麻ほか「餃子,焼売のリン含有量」『日本透析医学会雑誌』58巻2号、86~92頁、2025年
  3. 3. 文部科学省「食品成分データベース」