リンを多く含む食品のイメージ

リンを多く含む食品一覧|透析患者さんが知っておきたい食べ物・飲み物と食事の工夫

記事作成:メディクック宅配弁当運営チーム

透析治療を受けている方にとって、日々の食事管理は健やかな毎日を支えるために特に意識したいポイントです。特に「リン」を上手にコントロールすることは、体への負担を考えるうえでとても重要です。

この記事では、リンを多く含む食品を分かりやすく一覧で紹介するとともに、リンと上手に付き合っていくための食事の工夫を、具体的な調理法から外食のポイントまで、幅広く解説します。食事の楽しみを諦めるのではなく、正しい知識で賢くコントロールしていきましょう。

1. なぜ透析患者はリンの制限が必要なの?

そもそも、なぜリンの摂取量に配慮する必要があるのでしょうか。その理由を正しく理解することが、無理のない食事管理の第一歩です。

リンは私たちの体にとって欠かせない栄養素の一つで、食事から摂り込まれたあと体内で活用されます。健康な方の場合は、使い切れなかった分が腎臓から尿として排出され、血中の濃度は一定の範囲に調整されています。一方で、腎臓の機能が低下すると、余分なリンの排出が追いつかなくなり、血液中に溜まって「高リン血症」を招くことがあります。

透析治療によって余分なリンはある程度取り除けますが、食事から摂取する量にも気を付けることが大切です。日本透析医学会のガイドラインでは、血清リン濃度を3.5~6.0mg/dLの範囲にコントロールすることが推奨されています(1)。

この範囲を超えて高リン血症の状態が続くと、体に様々な悪影響が及びます。

  • 骨がもろくなる・関節が痛む: 血液中のリンが増えすぎると、体はバランスを取ろうとして骨からカルシウムを溶かし出してしまいます。これにより骨がもろくなり、骨折しやすくなったり、関節に痛みが出たりします(線維性骨炎)。
  • 血管の石灰化(動脈硬化): 骨から溶け出したカルシウムは、血液中のリンと結合して、血管の壁に石のように付着します。これを「異所性石灰化」と呼び、血管が硬くなったり、もろくなったりする原因となります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞といった心血管疾患のリスクにつながることが知られています。
  • 皮膚のかゆみ: 全身に耐えがたいかゆみが生じることも、高リン血症のつらい症状の一つです。

このように、リンを上手にコントロールすることは、痛みやかゆみに配慮するだけでなく、長く健やかに過ごすためにも大切です。

2. 要注意!リンを多く含む食品・飲み物一覧

リンを多く含む食品のイメージ

ここで知っておきたい大切なポイントは、体力維持に欠かせない「たんぱく質」が豊富な食品には、リンも多く含まれる傾向があるということです。透析生活においてたんぱく質はしっかりと摂る必要がありますので、「リンが多いから」とお肉やお魚を極端に避けるのはおすすめできません。必要な量のたんぱく質を確保しながら、食べる量や選び方を工夫していくことが大切です。

ここでは、リンが含まれやすく、特に意識したい食品をカテゴリー別にまとめました。

カテゴリー 特にリンを多く含む食品の例
① 加工食品・インスタント食品 カップ麺、インスタントラーメン、冷凍食品(ピザ、グラタン等)、ハム、ソーセージ、ベーコン、練り物(かまぼこ、ちくわ等)
② 乳製品 牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、ナチュラルチーズ、アイスクリーム
③ 肉・魚類とその加工品 レバー類、しらす干し、丸干しいわし、たらこ、いくら、うなぎの蒲焼
④ 豆類・種実類・穀類 納豆、豆腐、きな粉、アーモンド、ピーナッツ、玄米、オートミール
⑤ その他 卵黄、鶏卵、コーラなどの炭酸飲料、ビール酵母、ココア

これらの食品を無理に断つ必要はありませんが、食べる量や頻度には工夫が必要です。

大切なたんぱく源(肉・魚・大豆製品など)は毎日の食事に上手に取り入れつつ、リストの一番上にある「① 加工食品・インスタント食品」については、次に説明する「見えないリン」の観点から、少し気をつけておきたい食品群となります。

3. 見えないリン「無機リン(食品添加物)」との上手な付き合い方

リンには、肉や魚、野菜などの食材にもともと含まれている「有機リン」と、食品の味や食感、保存性を良くするために使われる食品添加物としての「無機リン」の2種類があります。

この2つの最も大きな違いは、体内への吸収率です。

  • 有機リン:吸収率は約40~60%
  • 無機リン:吸収率はほぼ100%

つまり、同じ量のリンを摂ったとしても、加工食品に含まれる無機リンは、そのほとんどが体に吸収されてしまうため、血清リン濃度を急激に上げてしまうのです。これが「見えないリン」の恐ろしさです。

では、どうすれば無機リンを見分けられるのでしょうか。答えは、スーパーで食品を買うときに原材料表示をチェックすることです。以下の表示がある食品には、無機リンが使われている可能性が高いので注意しましょう。

  • リン酸塩(Na, Kなど)
  • pH調整剤
  • 酸味料
  • 乳化剤
  • イーストフード
  • 膨張剤(ベーキングパウダー)

カップ麺やハム・ソーセージ・スライスチーズ・清涼飲料水など、多くの加工食品にこれらの添加物が使われています。ぜひ一度、ご自宅にある加工食品の裏側を確認してみてください。

とはいえ、買い物に行くたびに一つひとつの成分表示をチェックするのは、本当に大変な作業です。そんな毎日の悩みを解決するために、管理栄養士が栄養計算を徹底した食事を選ぶという選択肢もあります。例えば、専門の宅配弁当なら、リンはもちろん、たんぱく質や塩分・カリウムまで考慮されているため、食事管理の負担を軽くし、安心しておいしく楽しむための選択肢の一つになります。

4. 毎日の食事で実践できる!リンを減らす調理のコツ

リンを減らす調理のイメージ

食品選びと合わせて、調理法を少し工夫するだけでも、食事から摂取するリンの量を減らすことができます。ぜひ毎日の食事作りに取り入れてみてください。

  • 「茹でこぼす」「下茹でする」 リンは水に溶けやすい性質を持っています。そのため、お肉や加工肉(ウインナーやベーコンなど)、エビ・イカなどの魚介類を使うときは、調理の前に一度お湯で茹でてそのお湯を捨てる(茹でこぼす)ひと手間がおすすめです。この工夫を取り入れるだけで、食材に含まれるリンを20~50%ほど減らすことができると言われています。
  • 「食材を小さく切る」 食材を茹でる前に細かく切っておくと、お湯に触れる表面積が大きくなるため、より効率的にリンを減らすことができます。
  • 「リンの少ない部位を選ぶ」 同じ肉でも、部位によってリンの含有量は異なります。一般的に、バラ肉やモモ肉は、レバーや内臓肉に比べてリンが少ない傾向にあります。

これらの工夫は非常に有効ですが、毎日の食事で続けるとなると、大きな負担になることも事実です。特に、仕事や介護で忙しい方にとっては、調理に時間をかけるのが難しい日もあるでしょう。そんな時は無理せず、レンジで温めるだけで専門家の考えた食事ができるサービスに頼るのも、賢い選択です。毎日の調理の負担を軽くすることで、心にも時間にもゆとりが生まれ、日々の食事管理を長く続ける力になります。

5. 外食やコンビニ食を選ぶときのポイント

付き合いや仕事で、外食やコンビニ食を利用する機会もあるでしょう。そんな時でも、メニュー選びのポイントを知っておけば、リンの摂取をある程度コントロールできます。

  • ラーメン・うどんなどの麺類: スープにリンが多く溶け出しているため、スープは飲まずに残すのが鉄則です。トッピングのチャーシューや煮卵もリンが多いので、なるべくシンプルなものを選びましょう。
  • ハンバーガー: チーズはリンが多い乳製品の代表格。チーズ抜きのハンバーガーを選ぶだけで、リンの摂取量を大きく減らせます。フライドポテトもリンが高いので、セットではなく単品で頼むのがおすすめです。
  • コンビニ弁当: 加工食品が多く使われているため注意が必要です。幕の内弁当のように品数が多く、野菜の煮物などが入っているものを選び、練り物や揚げ物、ハム・ソーセージは残すようにすると良いでしょう。おにぎりなら、ツナマヨや明太子よりは、塩むすびや鮭、昆布などを選びましょう。

外食やコンビニ食は、どうしてもリンや塩分が多くなりがちです。利用はたまの機会にとどめ、基本は自宅でのコントロールを心がけることが大切です。

まとめ

今回は、透析患者さんが注意すべき「リンを多く含む食品」について、その理由から具体的な対策まで詳しく解説しました。最後に、大切なポイントを振り返ります。

  • 高リン血症は体へ負担がかかるため、日々の血清リン濃度のコントロールが大切。
  • リンには吸収率の低い「有機リン」と、ほぼ100%吸収される「無機リン(食品添加物)」がある。特に加工食品に含まれる無機リンに注意が必要。
  • 日々の食事の工夫として、「茹でこぼし」といった調理のひと手間や、外食時のメニュー選びでリンを減らすことが可能。

リンの管理は、透析治療を続けていく上で一生の付き合いになります。しかし、あまりに厳しく制限しすぎると、食事の楽しみが失われ、かえってストレスになってしまうかもしれません。

日々の食事管理は、頑張りすぎず「続ける」ことが最も大切です。毎日の調理が負担に感じたり、栄養計算に不安を感じたりした時は、決して一人で抱え込まないでください。

最近では、管理栄養士が監修した美味しい透析患者様向けの食事宅配サービスも増えています。そうした便利なサービスを上手に活用して、食事の楽しみと健康管理を両立させることも、賢い選択肢の一つです。

例えば、管理栄養士が全てのメニューを監修している冷凍宅配弁当「メディクック宅配弁当」なら、リン・たんぱく質・塩分・カリウムが調整済み。電子レンジで温めるだけで、彩り豊かで美味しい専門食を手軽に楽しめます。まずは初回1食200円の定期便で、その味を確かめてみてはいかがでしょうか。

あなたの食生活が、より豊かで安心できるものになるよう、心から願っています。

※日々の食事管理については、必ず主治医や管理栄養士の指導のもとで行ってください。

参照・引用元一覧

  1. 一般社団法人 日本透析医学会「慢性腎臓病患者における心血管疾患の評価と治療に関するガイドライン」
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
  3. D'Alessandro C, Piccoli GB, Cupisti A. "The "phosphorus pyramid": a visual tool for dietary phosphate management in dialysis and CKD patients." BMC Nephrol. 2015;16:9.
  4. 一般社団法人 日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」