記事作成:メディクック宅配弁当運営チーム
透析治療を受けている方にとって、日々の食事管理は健やかな毎日を支える大切な要素です。なかでも「リン」のコントロールは、体への負担を考えるうえで意識したいポイントです。
リンを多く含む食品は、肉や魚、乳製品、加工食品などさまざまです。この記事では、リンを多く含む食品を一覧で確認しながら、調理法や外食時に取り入れやすい工夫まで解説します。食事の楽しみを諦めるのではなく、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
目次
1. なぜ透析患者さんはリンの制限が必要なのか?
なぜ、リンの摂取量に配慮する必要があるのでしょうか。その理由を理解すると、食事管理で何に気をつけるべきかが見えやすくなります。
リンは私たちの体にとって欠かせない栄養素の一つで、食事から摂り込まれたあと体内で活用されます。健康な方の場合は、使い切れなかった分が腎臓から尿として排出され、血中の濃度は一定の範囲に調整されています。一方で、腎臓の機能が低下すると、余分なリンの排出が追いつかなくなり、血液中に溜まって「高リン血症」を招くことがあります。
透析治療によって余分なリンはある程度取り除けますが、食事から摂取する量にも気をつける必要があります。日本透析医学会の「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(2025年改訂版)」では、血清リン値を3.5mg/dL以上、5.5mg/dL未満に保つことが管理目標として提案されています(1)。ただし、栄養状態が悪い高齢患者では、この限りではありません。
血清リン値が高い状態が続くと、骨や血管に影響することがあります。
- 骨がもろくなる: 腎機能が低下すると、リンやカルシウム、副甲状腺ホルモンなどのバランスが崩れ、骨代謝に異常が起こることがあります。その結果、骨がもろくなり、骨折しやすくなることがあります。
- 血管の石灰化: 血清リン値が高い状態は、血管石灰化や心血管疾患のリスクと関連することが知られています。血管石灰化が進むと血管のしなやかさが失われ、心臓や血管への負担につながります。
リンのコントロールは、骨や血管への負担に配慮し、長く健やかに過ごすための食事管理につながります。
2. 要注意!リンを多く含む食品・飲み物一覧

注意したいのは、体力維持に欠かせない「たんぱく質」が豊富な食品には、リンも多く含まれる傾向があることです。透析治療中も、たんぱく質は必要量を確保することが大切です。「リンが多いから」と肉や魚を極端に避けず、食べる量や食品の選び方を調整しましょう。
リンが含まれやすく、特に意識したい食品をカテゴリー別にまとめました。
| カテゴリー | リンに注意したい食品の例 |
|---|---|
| ① 加工食品・インスタント食品・飲料 | カップ麺、インスタントラーメン、ハム、ソーセージ、ベーコン、かまぼこ・ちくわなどの練り物、市販のピザ・グラタン、リン酸を含むコーラなど |
| ② 乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、プロセスチーズ、パルメザンチーズなどのハード系チーズ |
| ③ 肉・魚・卵 | レバー、しらす干し、煮干し、丸干しいわし、たらこ・いくらなどの魚卵、うなぎ、卵黄 |
| ④ 豆・種実・穀類 | 納豆、きな粉、アーモンド、ピーナッツ、ごま、玄米、オートミール |
| ⑤ その他 | ココア、ベーキングパウダーを多く使用した食品など |
表に挙げた食品をすべて避ける必要はありません。肉・魚・卵・大豆製品などは大切なたんぱく質源でもあるため、血液検査の結果や栄養状態に応じて、食べる量や頻度を調整しましょう。
中でも注意したいのが、リン酸塩などの食品添加物を含む加工食品や飲料です。食品添加物に含まれる「無機リン」は、体に吸収されやすい特徴があります。
3. 食品添加物に含まれる無機リンに気をつける
食品に含まれるリンは、すべて同じように吸収されるわけではありません。食品添加物として使われるリン酸塩などは「無機リン」と呼ばれ、肉や魚、穀類、豆類などに含まれる「有機リン」よりも体に吸収されやすい特徴があります。
有機リンには、肉や魚などの動物性食品に含まれるものと、穀類や豆類などの植物性食品に含まれるものがあります。無機リンとの違いは、体内への吸収率に表れます。
- 動物性食品に含まれる有機リン:吸収率40~60%
- 植物性食品に含まれる有機リン:吸収率20~50%
- 食品添加物などに含まれる無機リン:吸収率が非常に高い
同じ量のリンを摂った場合でも、加工食品に含まれる無機リンは体に吸収されやすいため、特に注意が必要です。食品を選ぶときは、リンの含有量だけでなく、どのような食品から摂るかも確認しましょう。
では、どうすれば無機リンを見分けられるのでしょうか。食品を購入するときは、原材料表示に「リン酸塩」「リン酸Na」「ポリリン酸Na」「ピロリン酸Na」など、リンを示す名称が記載されていないか確認しましょう。
一方で、「pH調整剤」「酸味料」「乳化剤」などは、複数の添加物をまとめて表示できる一括名です。これらの表示があっても必ずリンが含まれているとは限らず、原材料表示だけでは判断できない場合があります。
カップ麺やハム・ソーセージ・スライスチーズ・清涼飲料水など、多くの加工食品に食品添加物が使われています。まずは、自宅にある加工食品の原材料表示を一度確認してみましょう。
4. 毎日の食事で実践できる!リンを減らす調理のコツ

食品選びに加えて、調理法を少し工夫することでも、食事から摂取するリンの量を減らせます。毎日の食事づくりに取り入れやすい方法から試してみましょう。
- 「茹でこぼす」「下茹でする」 食品に含まれるリンの一部は、茹でると茹で汁へ移ります。肉や加工肉(ウインナーやベーコンなど)、エビ・イカなどの魚介類を使うときは、調理前に一度茹で、その茹で汁を捨てることで、食材に含まれるリンを減らせます。減り方は、食材の種類や切り方、茹で時間によって異なります。
- 「食材を小さく切る」 食材を茹でる前に小さく切ると、お湯に触れる面積が大きくなり、リンを減らしやすくなります。
- 「リンの少ない部位を選ぶ」 同じ肉でも、部位によってリンの含有量は異なります。一般的に、バラ肉やモモ肉は、レバーや内臓肉に比べてリンが少ない傾向にあります。
こうした工夫は日々の食事管理に役立ちます。ただ、毎日の調理で続けると負担になることもあります。仕事や介護などで忙しい日は、無理に手間を増やさず、栄養成分がわかる食事を用意しておくと、準備を進めやすくなります。
食事管理を無理なく続けたい方へ
食材選びや調理、リン・塩分・カリウムなどの栄養管理を毎日続けるのが難しいときは、栄養成分がわかる冷凍の透析弁当を取り入れてみてはいかがでしょうか。
5. 外食やコンビニ食を選ぶときのポイント
付き合いや仕事で、外食やコンビニ食を利用する日もあるでしょう。そのような日でも、メニューの選び方を知っておけば、リンの摂取量に配慮しやすくなります。
- ラーメン・うどんなどの麺類: 麺類は塩分や水分が多くなりやすいため、スープやつゆは飲み切らずに残しましょう。リンの量は麺やスープ、具材によって異なります。煮卵やチャーシューには塩分やリンが、野菜のトッピングにはカリウムが含まれます。トッピングを増やしすぎず、具材がシンプルなラーメンを選びましょう。
- ハンバーガー: チーズはリンを多く含むため、チーズを使用していないハンバーガーを選ぶと、リンの摂取量を減らすことにつながります。商品によって原材料や栄養成分が異なるため、食べる量にも気をつけましょう。
- コンビニ弁当・おにぎり: コンビニ弁当を選ぶときは、練り物やハム・ソーセージなどの加工食品が少ないものを選びましょう。おにぎりは、具材によってリンや塩分の量が異なります。リンを抑えたい場合は、具材の少ないシンプルなものを選ぶとよいでしょう。
外食やコンビニ食は、選ぶ商品や食べる量によって、リンや塩分が多くなることがあります。加工食品の少ないものを選び、普段の食事とのバランスを見ながら利用しましょう。
まとめ
リンを多く含む食品は、すべて避ければよいわけではありません。たんぱく質を必要量確保しながら、無機リンを含む加工食品や食べる量に注意することが基本です。要点を整理します。
- 高リン血症は体へ負担がかかるため、血清リン値を適切な範囲に保つ必要がある。
- リンは、動物性・植物性食品に含まれる有機リンと、食品添加物などに含まれる無機リンで吸収されやすさが異なる。特に無機リンは吸収率が高いため、加工食品や飲料の選び方に注意が必要。
- 日々の食事では、「茹でこぼし」といった調理のひと手間や、外食時のメニュー選びが、リンの摂取量を抑えることにつながる。
リンの管理は、透析治療を続けるうえで継続して取り組む必要があります。ただし、厳しく制限しすぎると、食事の楽しみが失われ、かえってストレスになることもあります。
食事管理は、頑張りすぎず続けられる形に整えることが大切です。調理や栄養計算が負担に感じる場合は、主治医や管理栄養士に相談しながら、自分に合った方法を探しましょう。
管理栄養士が監修した透析患者さん向けの食事宅配サービスを活用する方法もあります。調理や栄養計算が負担に感じるときの選択肢の一つです。
例えば、冷凍宅配弁当「メディクック宅配弁当」は、管理栄養士がすべてのメニューを監修し、リン・たんぱく質・塩分・カリウムを調整しています。電子レンジで温めるだけで食べられます。まずは初回1食200円の定期便で、味や使いやすさを確かめてみてはいかがでしょうか。
食事の楽しみを残しながら、無理なく続けられる管理方法を選んでいきましょう。
本記事で紹介している内容は、食事管理の目安としてご覧ください。ご自身に合った内容は、主治医や管理栄養士にご相談ください。
参照・引用元一覧
- 一般社団法人 日本透析医学会「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(2025年改訂版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
- D'Alessandro C, Piccoli GB, Cupisti A. "The phosphorus pyramid: a visual tool for dietary phosphate management in dialysis and CKD patients." BMC Nephrol. 2015;16:9.
- 一般社団法人 日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」
- Ando S, Sakuma M, Morimoto Y, Arai H. "The Effect of Various Boiling Conditions on Reduction of Phosphorus and Protein in Meat." J Ren Nutr. 2015;25(6):504-509.
- 消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」


