透析を始めて、食事管理をするよう言われた…何に気を付ければいいの?
厳しい食事制限で、好きなものが食べられない?
そんな不安を感じている方に、透析食の基本を解説。
毎日の食事に役立つコツとポイントをご紹介します。
1. 透析食とは?腎臓病の食事とのちがい
透析食の基本は、バランスの良い食事。
治療を受けながら元気に生活していけるよう、体力を維持すること、体内のバランスを大きく崩さないことが肝心です。
具体的には、定期的に行う検査の値を安全な範囲に保つことが目的になります。
腎臓病の保存期では、腎臓に負担をかけず長持ちさせるために、たんぱく質やミネラルの制限を勧められますが、透析導入後は、たんぱく質はしっかり摂るよう意識しましょう。
また、水分とミネラルは摂り過ぎないように気を付けることで、体調を保ちやすく、治療をしやすくします。
透析は、これから生活の一部として長く付き合っていくもの。
厳しい食事管理や制限をするよりは、無理なく続けられる食習慣が大切です。
2. 透析食を支える6つの柱
透析食で特に気にしておきたい、6つの栄養素があります。
1)エネルギー
元気のみなもと、必須の栄養素です。体格に合った必要な量を摂りましょう。
<多く含まれる食品>主食(ごはん、パン、麺など)、いも類……
2)たんぱく質
体をつくり、体力を維持するのに不可欠。多すぎず、少なすぎず、適正量を。
<多く含まれる食品>主菜(肉、魚、卵など)、豆類、乳製品……
3)塩分
塩分の摂り過ぎは、水分の摂り過ぎや、高血圧・むくみにつながることも。
<多く含まれる食品>濃い味付けの料理(外食などは注意)、加工食品、汁物……
4)水分
体に水分が多く溜まってしまうと、高血圧や心不全の原因に。
<多く含まれる食品>野菜、果物、汁物、お茶やジュースなどの飲料……
5)カリウム
体内にたまりやすいカリウムは、摂り過ぎると高カリウム血症になるおそれがあります。検査でカリウム値が高い場合(正常値:3.5~5.0mEq/L)は、注意が必要です。
<多く含まれる食品>生の野菜・果物、加工食品……
6)リン
カリウム同様、体内にたまりやすいリン。血液中のリンが多くなると、骨粗しょう症、動脈硬化、心筋梗塞などのリスクが高まります。
<多く含まれる食品>肉、魚、乳製品、加工食品……
3. 透析の食事療法 6つの栄養素の摂取基準
透析の食事療法基準では、6つの栄養素について摂取量の目安が示されています。
この目安量を参考に、検査の数値や体格・生活に合わせて、かかりつけの医師・栄養士と相談しながら食事の内容を見直すと良いでしょう。
1)エネルギー:体格に合った適正量をしっかり摂りましょう
<1日当たりの摂取量>標準体重1kgあたり 30~35kcal
※標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
例:身長165cmなら、標準体重は60kg、エネルギー摂取量は1800~2100kcal/日
2)たんぱく質:多すぎず、少なすぎず、適正量をしっかり摂りましょう
<1日当たりの摂取量>標準体重1kgあたり 0.9~1.2g
例:身長165cmなら、標準体重は60kg、たんぱく質摂取量は54g~72g/日
3)塩分:ひかえめを心がけましょう
<1日当たりの摂取量>6g未満
4)水分:体重の増加量をみながら、食べ物・飲み物から摂る水分量を調整しましょう
<水分管理の目安>次回透析までの間の体重増加率:3~6%
例:身長165cmなら、標準体重は60kg、体重増加量は1.8kg~3.6kg/1~2日
5)カリウム:検査値が高い場合はひかえめを心がけましょう
<1日当たりの摂取量>2,000mg以下
6)リン:ひかえめを心がけましょう
<1日当たりの摂取量>たんぱく質摂取量(g)×15mg以下
例:たんぱく質摂取量60gなら、900mg/日
栄養素 | 目安 | 補足・例 |
---|---|---|
エネルギー | 標準体重1kgあたり 30〜35kcal | 例:標準体重60kg → 1,800〜2,100kcal/日 |
たんぱく質 | 標準体重1kgあたり 0.9〜1.2g | 例:標準体重60kg → 54〜72g/日 |
塩分(食塩相当量) | 6g未満 | 外食・加工品は表示を確認 |
水分 | 次回透析までの体重増加率 3〜6% | 例:標準体重60kg → 1.8〜3.6kg/1〜2日 |
カリウム | 2,000mg以下 | 検査値が高い場合は控えめ |
リン | たんぱく質摂取量(g) × 15mg 以下 | 例:たんぱく質60g → 900mg/日 |
※ 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 。
※ 個別の目安は体格・検査値・生活等で変わるので、かかりつけ医・管理栄養士にご相談ください。
4.今日からできる!透析食 実践のポイント
細かな栄養計算をしなくても、食べ方を少し工夫することで実践できます。
・主食・主菜・副菜 をそろえる
主食=エネルギー、主菜=たんぱく質、副菜=ビタミン・ミネラル・食物繊維 がバランスよく摂れます。
・香り・うまみ・酸味を活かした味付け
香りのよい大葉やショウガなどの香味野菜、スパイスやハーブを取り入れたり、だしのうまみ、レモンやお酢の酸味を活用したりすることで、塩分を減らしても物足りなさを感じない味付けに。
・野菜はひと手間
カリウムは水に溶けるため、茹でこぼしたり、水にさらしたりすると減らすことができます。ビタミンや食物繊維も豊富な野菜や果物は、むやみに避ける必要はありません。検査値をみながら、下ごしらえと量で調整しましょう。
・加工食品は回数を減らす
加工食品の添加物に多く使われるカリウムやリンは、自然な食品に含まれるものよりも体にたまりやすいです。ハムやソーセージなどの加工肉、インスタント食品などは、原材料にも注意しながら減らしていきましょう。
5.はじめての透析食に、メディクックの宅配弁当がオススメ
透析食で特に気を付けたい6つの栄養素、エネルギー・たんぱく質・塩分・水分・カリウム・リン。1日当たりの摂取基準を目安に、1食分を計算して作られた透析弁当『メディクック宅配弁当』は、はじめての透析食にオススメ。
自宅に届いたら、冷凍庫にストック。食べたいときに電子レンジで温めるだけ。
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