腎臓病について
腎臓は、飲食や体の中の代謝によって作られた水分や老廃物を体外に排泄し、赤血球を産生するホルモンや骨を作るホルモンであるビタミンDなどを産生する重要な臓器です。
腎臓病により腎臓の機能が低下すると、水分や老廃物を体外に排泄することができなくなる、赤血球が少なくなる(貧血)、骨の代謝に異常が生じて骨が脆くなったりします。
腎臓病は、感染、アレルギー、中毒、薬剤、虚血など様々な原因で速やかに発症する場合(急性)、糖尿病など代謝異常、免疫異常、高血圧、肥満、高脂血症、加齢など様々な原因で緩やかに発症する場合(慢性)があります。緩やかに発症する場合には、初期の段階ではあまり自覚症状はありません。それなりに進行して初めて症状が出てきますが、早い段階での治療が腎臓病から腎臓を守るためには極めて重要になります。ですから、定期的(年に1、2度)の血液や尿の検査で腎臓病の有無を把握して、血液検査異常(腎機能低下)や検尿異常(蛋白尿や血尿)が見つかれば、医師の診察や検査を受けることが大切です。加齢とともに腎臓の機能は低下するので、高齢者は定期的な検査が望まれます。また、糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症などの異常を指摘されている患者も定期的な検査を受けた方がいいです。
腎臓病の症状
むくみ
腎臓は不要な水分を体外に排泄する重要な機能を担います。ですから腎機能が低下すると体の間質という細胞の外、血管の外の組織に水分が溜まり、下肢や顔などにむくみが生じます。腎臓は塩分(ナトリウム)の排泄にも重要なので腎臓病で腎機能が低下すると塩分(ナトリウム)の排泄も低下するので、浸透圧が高くなり、水分の貯留からむくみます。水分や塩分の制限をしないとむくみが酷くなります。腎臓病の中でネフローゼ症候群と言われる高度のタンパク(アルブミン)が尿に排出される病態では、血液中のタンパク(アルブミン)の低下によりむくみも強くなります。
高血圧の症状
腎臓の水分や塩分(ナトリウム)の排泄が低下し、血管内に水分や塩分(ナトリウム)は貯留すると高血圧が生じます。
高血圧の症状としては、肩こり、頭痛、めまい、動悸、息切れなどの症状が出ることがあります。
尿の異常
血尿は少しの場合は自覚症状とわかりませんが、酷くなると尿の色は褐色や赤茶色になります。
腎機能が低下すると水分を排泄できなくなりますが、程度が酷くなると尿量が減ってきます。腎臓病の初期の症状としては、腎臓の濃縮力が減るために逆に尿量が増える(多尿)ことが多く、腎臓の機能が低下するにつれて尿量が減っていきます。尿量が減るに連れ、むくみ、高血圧、動悸や息切れなどの症状も出てきます。
腎臓の濃縮力が減るために頻尿になることもあります。
だるさ
腎臓は、酸素を運搬する赤血球を合成するのに必要なホルモンであるエリスロポエチンを産生しています。そのための腎臓病で腎機能が低下するとエリスロポエチンの合成が阻害され、赤血球が産生されなくなります(貧血)。酸素を運搬する機能も低下し、少し動いただけで動悸や息切れを感じるようになります。また、水分が体に貯留して心臓や肺にも負担がかかっているので、だるさや動悸や息切れを強く感じたりします。
症状に気づいたら
これらの症状が速やかに発症する(急性)場合は、すぐに医師を受診し、血液検査、検尿、画像診断を受けなければいけません。急性の腎臓病は、感染、アレルギー、中毒、薬剤、虚血など様々な原因で生じますが、これらの原因を取り除くことで改善する場合も多いです。逆に、診断が遅れ、治療が遅れると不可逆的な機能の低下に陥る場合も多いです。
定期検査(採血、採尿)の重要性
緩やかに発症する場合(慢性)には、初期の段階ではあまり自覚症状はありません。定期的(年に1、2度)の血液や尿の検査で腎臓病の有無を把握して、血液検査異常(腎機能低下)や検尿異常(蛋白尿や血尿)が見つかれば、医師の診察や検査を受けることが大切です。高齢者、糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症などの異常を指摘されている患者は定期的な検査を受けた方がいいです。
腎臓病の治療
腎臓病は初期の段階では緩やかに進みますが、ある程度進行すると、進行速度は加速され、症状も一気に出現します。この段階では有効な治療法も少ないので、初期の段階で、腎臓病の原因に応じた適切な治療を受けることが重要です。
腎臓病の治療は、原因に対しての治療、腎臓機能低下に伴う症状に対する治療に分けられます。原因に対しての治療は、個々の原因で違います。感染、アレルギー、中毒、薬剤、虚血、糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症など様々な原因に対して適切な治療が医師により選択され提供されます。一方、腎臓機能低下に伴う症状は、むくみに対しては水分制限や塩分制限、利尿薬が使用され、高血圧に対しては種々の降圧薬が使用されます。貧血に対してはエリスロポエチンの補充などが行われます。食事療法も重要で、腎機能低下が進んだ段階では、タンパク質制限、塩分制限、カリウム制限などが必要になります。このように、日々の生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による管理などを総合的におこなうことが必要です。
コラムby 東北大学大学院医学系研究科 教授 宮田 敏男
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