透析生活ではカリウムや塩分など『控えること』が多く、食事に窮屈さを感じていませんか?
しかし、毎日を元気に過ごすために最も大切なのは、実はエネルギーとたんぱく質を『しっかり確保すること』です。
今回は、体力を維持し、合併症を予防するための食事の要(かなめ)について解説します。
正しく食べて、健やかな毎日を目指しましょう。
1.栄養の基礎!エネルギーとたんぱく質の役割
私たちは、生命維持の為にエネルギーを常に必要としています。
エネルギーは、歩行などの身体活動だけでなく、呼吸や体温維持といった生命活動すべてを支える燃料となります。
このエネルギーの量は、よく耳にする「カロリー(cal)」という単位で表されます。
エネルギーを生み出すのは、主に炭水化物(糖質)、脂質、そしてたんぱく質の「三大栄養素」です。
炭水化物と脂質は、効率の良いエネルギー源として優先的に消費されます。
たんぱく質は、さらに、筋肉、内臓、血液、皮ふなど、私たちの身体をつくる主な材料としても使われます。
ここで気を付けたいのは、エネルギーとたんぱく質の相互関係です。
エネルギーの摂取量が少ないと、体は生命維持を優先し、たんぱく質をエネルギー源へと回してしまいます。
食事から摂った分は体の修復や維持に使うことができず、さらに足りなければ体内に蓄えた筋肉を分解し、エネルギーの確保に消費されます。
その結果、筋肉の減少や体力の低下を招き、けがや病気をしやすくなってしまうのです。
透析治療を続けながら活動的な毎日を送るためには、炭水化物や脂質から十分なエネルギーを確保しつつ、体を作るためのたんぱく質もしっかりと取り入れることが不可欠です。
まずは「しっかり食べて、体を動かす土台を整える」という意識が大切です。
2.不足が招く、低栄養による影響
透析患者様にとって、カリウムや塩分などの制限を守ることは大切ですが、それ以上に注意を払いたいのが「低栄養」という状態です。これは、食事から摂るエネルギーやたんぱく質が不足し、健康を維持するために必要な栄養素が足りていない状態を指します。
特に怖いのは、この低栄養が引き金となって起こる「合併症」のリスクです。
エネルギーが慢性的に不足すると、体は骨格筋などの組織を切り崩して補おうとします。
その結果、筋肉量が減少して身体機能が落ちる「サルコペニア(筋肉減少症)」や、
全身の筋力・活力が低下する「フレイル(虚弱)」といった合併症を招き、転倒や骨折などをしやすくなります。
さらに、低栄養は免疫力の低下につながります。
病気に対する抵抗力が弱まることで、肺炎などの重とくな感染症にかかりやすくなったり、一度体調を崩すと回復までに多大な時間がかかったりするようになります。
また、血管や皮膚の組織も弱くなる為、透析の穿刺部位(シャント)のトラブルや、傷口の治癒不全といった合併症にもつながりかねません。
「少し食欲がないだけ」と見過ごされがちな低栄養ですが、実はさまざまな合併症の入り口となっています。
毎日を元気に過ごし続けるためには、体に必要な栄養をしっかり満たすことが、合併症を防ぐための最大の防衛策となるのです。
3.透析生活に必要なエネルギーとたんぱく質の摂取量
では、実際にどれくらいのエネルギーとたんぱく質を摂ればよいのでしょうか。
透析の食事療法基準では、以下の基準が示されています。
<1日当たりのエネルギー摂取量>
標準体重1kgあたり30~35kcal
(例:標準体重が60kgの場合、1800~2100kcal)
エネルギーは少なすぎると低栄養を招きますが、逆に摂りすぎると肥満や血糖値の上昇につながります。
活動量(デスクワーク中心か、よく動くかなど)に合わせて調整が必要です。
<1日当たりのたんぱく質摂取量>
標準体重1kgあたり0.9~1.2g
(例:標準体重が60kgの場合、54~72g)
リンの摂取量は、たんぱく質の摂取量と比例しやすい性質があります。
たんぱく質をしっかり摂りつつ、リンの数値が上がりすぎないよう工夫することが大切です。
まずは「自分に合った量」を知ること。
上記の数値はあくまで一般的な基準です。
年齢、性別、透析の状況、そして他の合併症の有無によって、最適な量は一人ひとり異なります。
「自分はどれくらい食べればいいの?」と迷ったときは、主治医や管理栄養士に相談してみてください。
定期的な検査結果をもとに、あなたにぴったりの目標量を確認しましょう。
4.我慢しすぎない、賢くエネルギーを補う調理と食事のコツ
「しっかり食べる」といっても、一度にたくさんの量を食べるのは難しいものです。
特に透析患者様の場合は、水分量やリン、カリウムなどの制限がある中で、どのように栄養を補うかが悩みどころでしょう。
そこで、無理なく、賢くエネルギーを積み上げる工夫をいくつかご紹介します。
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・油脂類や糖質を上手に活用する
たんぱく質やリンを増やさずにエネルギー(カロリー)を補うには、油脂類や糖質の活用が効果的です。○温野菜にマヨネーズを添える
○炒め物に使う油を少し多めにする
○料理や飲み物に砂糖、はちみつ、みりんなどを活用する
○おやつを取り入れるなどの工夫をしてみましょう。 -
・たんぱく質は「質」にこだわる
たんぱく質を効率よく摂取するには、アミノ酸スコアの高い「良質なたんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)」を優先的に選ぶことが大切です。また、一度にまとめて摂るのではなく、朝・昼・晩と3食に分けて摂ることで、体が栄養を吸収・利用しやすくなります。
食事療法は「我慢」が目的ではありません。
こうした工夫を組み合わせることで、数値のコントロールと「食べる楽しみ」を両立させることができるのです。
ご自身の体調に合わせて、まずは取り入れやすい工夫から少しずつ始めてみてください。
5.メディクック宅配弁当で、「しっかり食べて元気に過ごす」新習慣
数値の計算をしながら毎食の献立を考え、制限を守りつつ必要な栄養を確保するのは大変。
「今日は少し疲れてしまったな」「計算が難しいな」と感じる時は、メディクック宅配弁当を活用してみてください。
透析患者様向けに調整された冷凍弁当は、エネルギーやたんぱく質が適切に管理されているのはもちろん、塩分、リン、カリウムもしっかりと計算されています。
自宅に届いたら、冷凍庫にストック。
食べたいときに電子レンジで温めるだけ。
管理栄養士監修の安心感で、「これは食べていいのかな?」という不安から解放され、食事そのものを楽しむことができます。
無理のない範囲で、おいしく、しっかり食べる。
これからの健やかな毎日を支えてくれる新習慣の手助けに、メディクック宅配弁当を取り入れてみませんか?
まとめ
今回は、体を動かす源である「エネルギー」と、体をつくる材料となる「たんぱく質」について詳しくお伝えしました。
透析生活において、食事の「制限」は避けて通れない道です。
しかし、制限を守ることと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのは、体格や活動量に見合った十分な栄養を摂取し、「低栄養」を防ぐことです。
エネルギーとたんぱく質が満たされて初めて、筋肉や体力が維持され、合併症に負けない強い体をつくることができます。
日々の食事管理を完璧にこなそうとすると、時には負担に感じることもあるかもしれません。そんな時は、今回ご紹介した調理の工夫や、栄養計算されたお弁当などを上手に取り入れてみてください。
しっかり食べて元気に過ごす。その積み重ねが、健やかな毎日を支える確かな土台となります。
これからも、おいしく食べる喜びを大切にしながら、より良い透析生活を送っていきましょう。
参考文献
- 日本透析医学会『慢性透析患者の食事療法基準(2014)』
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

